[日语演讲集]人生は着陸にあり(本田宗一郎)

本田宗一郎

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【入社式に於いて】

人生は着陸にあり

私はどんな場合にも自分の体験を通して肌で感じたことしか話せないので、本日もその点は、ひとつわかってもらいたいと思います。

さて、私の子供時分は、家に新聞をとって読んでいる人も少なく、ニュースはおもに口伝えで聞かされましたから、そこにはかなりの時間のズレがありましたし、もちろん、自分の目や耳で確かめ得たものではありませんでした。

しかし、いまはスピードがすべての世の中です。電話や新聞、テレビなどの通信網の発達で、世界各国の情報が居ながらにして入手することも、現場の情況をそのまま見ることもできます。アメリカへ行こうと思えば、十時間でいけます。また、必要な情報は、コンピューターにちゃんと入っていて、プログラムさえしっかりしていると、答えが出てくる。

ところがです。時代はこれだけ変わっても、変わらないのが学校教育なんですね。いまだに教わったことをどれだけ暗記しているかで、そのひとの人間的な価値を判断するのです。こういう時代にはたして何でも憶えている必要があるんでしょうか????昔は、電気というと、「灯く」「鳴る」「回る」、それぐらい憶えていればどうにかなりました。しかし、今は、電子工学だけで何千種類もあって、そのなかの一つを憶えるのだって大変だし、仮にそれを全部知っているということは、逆に何も知らないということにもなるんです。学校の先生だって専門に分れて教育を受けているのに、子供たちに全部憶えろというのはおかしいね。

むしろ、今の時代に求められているのは、知らないことは他のひとに教えてもらえる謙虚な人柄です。いうなれば、道徳的な人間を作ることが一番大事だと思います。他人から教わるには、何よりまず他人から愛される人間にならなければなりません。そのためには、相手との約束を守るということも愛されるうえで大切なことです。そういう意味で、今の学校は、人間が生きていくうえで必要なことを、ちっとも教えてくれないようだ。私の場合、私にそれを教えてくれたのは父親でした。

それに学校で教わることは過去のことです。われわれが本当に知りたいのは未来なんです。そのために、便宜的に、過去を教わっているにすぎません。そして、教わったことは実践するときの道具にしかならない。大事なのはその実行力です。知恵のあるひととは、単に記憶力のいいひとではなく、その知恵を時代に適合した形で応用する術を編み出す力のあるひとのことです。

私には、今の学校教育は若い人を点数の犠牲にしているように思えてなりません。やり方によっては、そのひとの持っている人間らしさや個性を殺して、まるでひとの鋳型にはめて人間のタイ焼きを作り出しているようで憤りすらおぼえます。

たとえば、コンピュータをやりたいひとにとっては、数学の成績が百点に近いものでなければならないでしょう。しかし、美術の方をやりたいというひとには、何故に、高等数学が必要なのでしょうか????不得意な数学まで百点をとらなければ専門の学校に入れないとしたら、真の芸術家を失う結果になってしまう。

私は、およそ子供の勉強に不熱心な親に育てられました。いってみれば、放ったらかしで育ったようなものですが、学校の勉強にはうるさくいわなかった親も、こと人間教育に関しては大変に厳しかったものです。

これから社会に出る若い人にいいたいのは、会社のためではなく、自分のために働く人間になってもらいたいということです。会社が大事で入社したのではなく、自分の得意を活用するために入社したはずです。顔かたちがそれぞれ違うように、自分の個性を生かした生き方をしてもらいたい。

社会では、未経験からくる失敗も多いことでしょう。かくいう私もその例外ではなく、失敗の連続でした。が、失敗のないところに成功はありません。若いときの失敗は、やり直しがきき、そのたびに自分の血と肉になっていくものです。自分の考えを自分の手で実現できるのも、若さの特権です。ことに、人生というマラソンは長い。わずか数年の学校生活の結果で決まるはずがない。どうしたって、八十年というロングスパンでものごとを考えるべきでしょう。

私は、世の中は、離陸に始まって着陸に終わる、たとえるならば、飛行機の人生だと思います。テイクオフといえば、華々しくて大勢のひとが見送りにも来てくれましょうが、上げ舵をとれば割合に楽なのです。

ところが、どんな立派なパイロットでも、着陸が悪かったらおしまいです。だから、私は、着陸だけは立派にして、「名パイロットだった」といわれるようにしてみたいと思っています。飛行中は、気流が少々悪く、ハッとしても、私はいいと思うんです。それが、生きている人間の常なのですから???。

私が、これまでこうしてやってこれたのも、つまるところ世の中の人達が支えて下さったからです。したがって、私にとっての見事な着陸とは、私が今まで積み立ててきた技術とか経験とかいうようなものを、そっくり皆さんにおかえしすることだと思っている次第です。若い人は、これからがテイクオフです。自分の目標をもち、しっかりと操縦桿を握りしめ、上げ舵をとって下さい。

「ここ一番役立つ有名人?名スピーチ集」 より

本田宗一郎

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【入社式に於いて】

人生は着陸にあり

私はどんな場合にも自分の体験を通して肌で感じたことしか話せないので、本日もその点は、ひとつわかってもらいたいと思います。

さて、私の子供時分は、家に新聞をとって読んでいる人も少なく、ニュースはおもに口伝えで聞かされましたから、そこにはかなりの時間のズレがありましたし、もちろん、自分の目や耳で確かめ得たものではありませんでした。

しかし、いまはスピードがすべての世の中です。電話や新聞、テレビなどの通信網の発達で、世界各国の情報が居ながらにして入手することも、現場の情況をそのまま見ることもできます。アメリカへ行こうと思えば、十時間でいけます。また、必要な情報は、コンピューターにちゃんと入っていて、プログラムさえしっかりしていると、答えが出てくる。

ところがです。時代はこれだけ変わっても、変わらないのが学校教育なんですね。いまだに教わったことをどれだけ暗記しているかで、そのひとの人間的な価値を判断するのです。こういう時代にはたして何でも憶えている必要があるんでしょうか????昔は、電気というと、「灯く」「鳴る」「回る」、それぐらい憶えていればどうにかなりました。しかし、今は、電子工学だけで何千種類もあって、そのなかの一つを憶えるのだって大変だし、仮にそれを全部知っているということは、逆に何も知らないということにもなるんです。学校の先生だって専門に分れて教育を受けているのに、子供たちに全部憶えろというのはおかしいね。

むしろ、今の時代に求められているのは、知らないことは他のひとに教えてもらえる謙虚な人柄です。いうなれば、道徳的な人間を作ることが一番大事だと思います。他人から教わるには、何よりまず他人から愛される人間にならなければなりません。そのためには、相手との約束を守るということも愛されるうえで大切なことです。そういう意味で、今の学校は、人間が生きていくうえで必要なことを、ちっとも教えてくれないようだ。私の場合、私にそれを教えてくれたのは父親でした。

それに学校で教わることは過去のことです。われわれが本当に知りたいのは未来なんです。そのために、便宜的に、過去を教わっているにすぎません。そして、教わったことは実践するときの道具にしかならない。大事なのはその実行力です。知恵のあるひととは、単に記憶力のいいひとではなく、その知恵を時代に適合した形で応用する術を編み出す力のあるひとのことです。

私には、今の学校教育は若い人を点数の犠牲にしているように思えてなりません。やり方によっては、そのひとの持っている人間らしさや個性を殺して、まるでひとの鋳型にはめて人間のタイ焼きを作り出しているようで憤りすらおぼえます。

たとえば、コンピュータをやりたいひとにとっては、数学の成績が百点に近いものでなければならないでしょう。しかし、美術の方をやりたいというひとには、何故に、高等数学が必要なのでしょうか????不得意な数学まで百点をとらなければ専門の学校に入れないとしたら、真の芸術家を失う結果になってしまう。

私は、およそ子供の勉強に不熱心な親に育てられました。いってみれば、放ったらかしで育ったようなものですが、学校の勉強にはうるさくいわなかった親も、こと人間教育に関しては大変に厳しかったものです。

これから社会に出る若い人にいいたいのは、会社のためではなく、自分のために働く人間になってもらいたいということです。会社が大事で入社したのではなく、自分の得意を活用するために入社したはずです。顔かたちがそれぞれ違うように、自分の個性を生かした生き方をしてもらいたい。

社会では、未経験からくる失敗も多いことでしょう。かくいう私もその例外ではなく、失敗の連続でした。が、失敗のないところに成功はありません。若いときの失敗は、やり直しがきき、そのたびに自分の血と肉になっていくものです。自分の考えを自分の手で実現できるのも、若さの特権です。ことに、人生というマラソンは長い。わずか数年の学校生活の結果で決まるはずがない。どうしたって、八十年というロングスパンでものごとを考えるべきでしょう。

私は、世の中は、離陸に始まって着陸に終わる、たとえるならば、飛行機の人生だと思います。テイクオフといえば、華々しくて大勢のひとが見送りにも来てくれましょうが、上げ舵をとれば割合に楽なのです。

ところが、どんな立派なパイロットでも、着陸が悪かったらおしまいです。だから、私は、着陸だけは立派にして、「名パイロットだった」といわれるようにしてみたいと思っています。飛行中は、気流が少々悪く、ハッとしても、私はいいと思うんです。それが、生きている人間の常なのですから???。

私が、これまでこうしてやってこれたのも、つまるところ世の中の人達が支えて下さったからです。したがって、私にとっての見事な着陸とは、私が今まで積み立ててきた技術とか経験とかいうようなものを、そっくり皆さんにおかえしすることだと思っている次第です。若い人は、これからがテイクオフです。自分の目標をもち、しっかりと操縦桿を握りしめ、上げ舵をとって下さい。

「ここ一番役立つ有名人?名スピーチ集」 より


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